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病理スライドのデジタルスキャンに関する 4 つのコツ

スライド検体のスキャン品質を改善したいとお悩みではありませんか。このページでは、デジタルパソロジースキャナーを最大限に活用するためのコツをご紹介します。

コツ 1:組織の準備

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TIP 1: Tissue Preparation

適切に準備された組織を用意することが重要です。どんなに優れたデジタルスキャナーでも、試料の処理の不適切さを補うことはできません。ここでは組織を準備する際にどのような点がデジタル化に影響するかをご紹介します。

  1. 薄切 — デジタルパソロジースキャナーは従来の顕微鏡よりも焦点の合う範囲が狭いため、単層のスキャンを行う際は、標準的な厚みの範囲(3~5 µm)の切片が最良の結果をもたらします。より厚い切片に対しては、マルチレイヤー(Z-スタック)スキャンが必要な場合があります。
  2. 染色 — 染色が不十分、またはバックグラウンドシグナルが高い場合、スキャナーによる組織の自動識別が困難になり、手作業が増える可能性があります。
  3. 封入 — 従来の顕微鏡観察と同様、デジタルパソロジースキャナーが最も効果的に機能するのは、組織表面が平坦である場合です。上手くフォーカスを合わせるために、組織に折り目やしわがないようにしてください。
  4. カバースリップ — プラスチック製のカバースリップは時間の経過と共に反ってしまいスキャナーの焦点合わせに影響を与える可能性があるため、できればガラス製のカバースリップ(カバーガラス)をご使用ください。また従来の顕微鏡と同様、カバースリップの下に気泡が入り込んでスキャン箇所の焦点がずれることのないよう気を付ける必要もあります。

コツ 2:スライドの確認と準備

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TIP 2: Slide Inspection & Preparation

高品質な画像を取り込むためには、スキャン前に必ずスライドをチェックしてクリーニングを行います。

  1. はみ出したラベル、テープ、または余分な封入剤がスライド上にないか確認します。これらはスキャニングに影響を与え、作業の妨げになる可能性があります。
  2. スライド上面と下面に付着した埃、水滴、指紋をマイクロファイバーなどの柔らかい布で丁寧に取り除きます。拭き取りにくい汚れの場合は、水またはアルコール溶液で布を湿らせてから拭きます。
  3. スライドに亀裂や欠けている部分がないか、特に角を確認します。ガラス片がスキャナー本体に落下した場合、スキャナーが損傷するおそれがあります。
  4. スキャナーに試料等が付着することを防ぐため、スライドが完全に乾いてから機械にロードします。
  5. スライドがスキャナーラックやキャリアなどの固定装置に水平に設置されていることを確認します。スライドが密着して設置されていない場合、一部領域の焦点が合わなくなる可能性があります。スライドの裏側にラベルが貼られているとスライドが水平にならない可能性があるため、ラベルはスライドの表側にのみ貼るようにしてください。

コツ 3:スライドのスキャニング

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TIP 3: Scanning your Slide

デジタルパソロジースキャナーのワークフローや必要条件は機種ごとに異なりますが、高品質な画像を取り込むための一般的な指針はいくつか存在します。

  1. スキャナーは、ラベル、マーカーの跡、埃などを除外しつつ、組織の全体を自動的に検出しますが、不十分な染色、過剰なバックグラウンドシグナル、変色した封入剤、スライド上の過剰な埃や傷により、検出が妨げられる可能性があります。このように最適な状態でないスライドの画像を取り込む際は、高解像度スキャンを行う前に検出条件を検討することで再スキャンが回避できます。
  2. フォーカスは自動的に合わせられ、フォーカスポイントは組織上に均等に配置されます。スライドの一部にピントが合っていない場合は、手動でフォーカスポイントを追加してみてください。
  3. カバースリップ上やその下の埃、気泡、その他不均一な部分にフォーカスポイントを設定することは避けてください。スキャナーが正しい層にフォーカスできなくなり、ピントの合っていない組織画像が得られるおそれがあります。
  4. オイルを用いた高倍率でのスキャンでは、作業中に対物レンズが乾燥して画像上に縞模様のアーチファクトが生じることを防ぐため、スキャン開始前に十分なオイルを充填してください。しかし、過剰なオイルはカバースリップの下に浸透し、細胞の輪郭が不明瞭な、霞んだ画像につながります。オイルを使用する際はテストスキャンを行うことが推奨されます。また、スキャン後は必ずラックやスキャナーに残ったオイルを拭き取るようにしてください。

コツ 4:品質管理(QC)

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TIP 4: Quality Control (QC)

最善を尽くしてもすべてのスキャンが一度目で良い品質の画像になるとは限りません。品質管理の手順は検査室によって異なり、施設によって課される条件を遵守する必要がありますが、ここではご使用の画像ビューアで迅速かつ効率的に画像の品質管理を行う手順をご紹介します。

  1. スライド全体、あるいは少なくともスキャンされた組織領域を低倍率(4 倍など)で確認し、明らかなピンぼけや、ずれが起こっていないかを確認します。ずれてしまった場合は通常、スキャン画像内の各部分の継ぎ目に見られる線として現れます。
  2. 高解像度の画像がスキャンされた倍率に設定し、組織切片の最も幅の広い部分の画像を横軸に一視野ずつ確認します。この作業により、フォーカスが合っていない部分や微妙なずれを確認することができます。
  3. 縦方向にも同様に、組織の端から端まで一直線に画像を一視野ずつ確認し、ピントが合っていない部分がないか確認します。
  4. 高倍率で、組織の厚さが異なる部分やスライドに不備がある部分など、ピントの合っていない可能性が特に高い箇所を抜き打ちで確認します。

これらのシンプルなガイドラインに従ってスキャニングを行うことで、高品質のデジタル画像を永久的に保存し、閲覧、共有、分析することができます。


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